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2012年9月7日金曜日

【電子書籍】電子書籍の適正価格を考える

 普通に考えて、紙に印刷された書籍と、デジタル化された電子書籍の価格にほとんど差が無いというのは納得の出来る話ではありません。紙代、印刷代、輸送費が原則ゼロになるわけで、単純に計算してもその分はマイナスとなります。さらに返本の心配はありませんし、在庫コストもかかりません。書店の人件費も大幅に削減可能です。考えれば考えるほど、電子書籍の価格は下がっていきます。

 では実際に、電子書籍はどのくらいの価格設定が適正なのかを考えてみることにします。

 単に書籍と言っても、小説・コミック・雑誌・写真集など種類によってコストも違っているわけですが、とりあえず一般的な小説、という前提で計算をしてみましょう。


 図の左端が紙に印刷され、書店に並んでいる書籍の価格に占める関係者の配分表です。もちろん全てがこの通りではありませんが、現実的で平均的な比率と考えてもらってOKだと思います。出版社の取り分が飛び抜けて多いように見えますが、編集・校正やデザイン費用など制作関連の費用や宣伝広告費も含まれますし、万が一売れなかった場合のリスクも出版社が負っていることを考えれば、特に取り過ぎというほどのことはありません。

 しかし電子書籍となると(図まん中)、相当な部分でコストダウンが可能となりますから、ざっくりと計算しても半額程度での販売は可能だと思われます。1,000円なら500円、500円なら250円。

 正直、この金額であれば紙の書籍でなく、電子書籍を選ぶのに充分な動機付けとなりますし、買うという選択肢を持っていなかった人でも、買って読んでみようかと思わせることの出来る範囲ではないかと考えます。

 なお、図右端の直販電子書籍とは、作家が直接ネットモール業者と契約し、電子書籍を販売するというパターンで、出版社させ枠組みから外してしまいますから、価格的には半額のさらに半額をも実現可能となります。

 ただし、作家自らが校正や編集、デザインに宣伝広告まで全て自らが行わなければなりませんし、「電子書籍を制作する」という基本的な作業もしなければなりませんから、それなりのスキルも必要となり、現時点において、このパターンが一般的になることはそうそうあり得ないだろうと思われます。

 将来的にはもしかしたらこの直販パターンがメインとなる可能性もありますが、有名作家ならともかく、無名な新人作家にはハードルが高過ぎるでしょうから、技術的なブレークスルーでも起きない限り、現実的ではないでしょうね。

 ということで結論。電子書籍の適正価格は、紙書籍の半額!ということにしておきます。

 色々なしがらみもあり、なかなか大変だとは思いますが、出版社の方々にはぜひこの価格設定を目指して努力してもらいたいものです。でないと、今、流通企業を襲っている不要論が、いずれ出版社へも向いてしまうかもしれませんよ(^_^;

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